またまた本の紹介をしてみます。
アメリカの作家ヘンリー・D. ソローの「ウォールデン 森の生活」です。
この本は、ソローが28歳の頃にウォールデン湖のほとりに、自分で家を建て自給自足の生活した2年と2ヶ月の記録です。
友達から斧を借りてきて木を切るところから始まり、家を建て、暖炉をつくり、生活の場をすべて自分自身でつくっていきます。生活ができる最小限の労働をして、できる限りの時間を思索にあてるという生活で、暮らすということ自体を1から考え直しています。
ソローが建てた家はすごく小さなもので、
ゼロから始める都市型狩猟採集生活の段ボールハウス同様、人間が生活するのに、そんなに大きな場所は必要無いということが分かります。私自身、車中泊の旅をしてきて、火と水があって、安全に寝られる場所と、多少の衣服と食料があれば生きていけることを実感しました。むしろ、所有することによって、それに囚われてしまうこともあります。
ゴールドラッシュで、イケイケの開拓時代にあって、文明を捨てて、自然の中でのシンプルでロハスな生活を提唱したソローの考え方は、環境問題が深刻な現代でもまったく古びません。
また当時のアメリカの奴隷制度とメキシコ戦争に反対していたソローは、納税を拒否し投獄されます。この「不服従」の精神は後に、インドのガンジーや、公民権運動の指導者キング牧師に影響を与えています。
湖のほとりの小屋から、世界を変える考え方を発想するソローは、システムに依存せず、自分自身で生きていくということを教えてくれます。
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